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奇妙な雲

神戸の大震災が起きたとき。 あれは、早朝でした。 テレビをつけてびっくり。 これは大変なことが起きたぞ...と。 あの地震のあと、いくつか天変地異についての記事をみました。 そのひとつが妙に目に焼き付いているのです。 竜巻のように上にのびる雲。 少し赤みがかったような不思議な色あい。 きっと、 地震の起きるときは、大きな磁場の変化があって、 奇妙な自然現象が起きるのだろうと想像していました。 「これは、あり得るぞ」 地震が起きる前触れの手がかりを得ました。 今朝、それを見てしまったのです。 愛犬ロビンと散歩していた早朝、 ふと見上げると 「あっ、ひこうき雲...」 でも、ちょっと違う。 その雲は奇妙にうねりながら、地平線に吸い込まれています。 東の方角でした。 そして北の空にも、 まったく同じような奇妙な雲が、竜巻のようにのびています。 ひこうき雲のようだけど、 これはひこうき雲ではない。 だから、 今日は地震に注意して過ごそうと思います。 それより何より、 はやく涼しくなって欲しい。 これが切実です。

楽しい時間と酒

仕事柄、お酒のことを考えることが多いのです。 自分の愛する日本の酒を、 どうやって普及させることができるのか。 ずっと考え続けるのだろうな。 先週の土曜日、 有名な銀座のイタリアンレストラン、ラ・ベットラでランチをしました。 パートナーは以前来たことがあるようでしたが、 僕は初めて。 予約をとっていない店なので、どうせ一杯だろうなと、 なかば諦めながら行ったのですが、 「外のテラスでよければ」 とラッキーなこと。 猛暑の日差しを直接浴びることもなく、 意外に涼しい風のなかで、 気持ちよく美味しい料理を満喫しました。 昼間からグラスの白ワインを飲んで、 何だか健全で、満ち足りた、 おしゃれで、楽しい、 とても美味しい時間でした。 これを日本酒に求めるのは難しいのかもしれないけれど、 日本酒にしかできない楽しみを、 見つける、 つくりだすことが出来れば... 和食をベースとしたフュージョン料理のなかに、 ヒントがあるかもしれません。 世界の料理は、徐々にボーダーレス化しています。 ヌーヴェルフレンチ、ヌーヴェルイタリアン、ヌーヴェルシノア... ヌーヴェルと付く料理は、すべてさっぱりとした、生食系の色彩を持っています。 これらの料理は、白ワインに相性が良いと思いますが、 相性からいえば、ほとんどの料理が日本酒に間違いなく合います。 ただ、日本酒の方にも歩み寄りが必要かもしれません。 ナチュラルで爽やかな甘さと香り。 ドライな飲み口にも甘さを感じさせる香りが欲しい。 気軽に冷蔵庫に放り込んでおいて、 冷えた酒をきれいなグラスに注いで、 太陽の下で気持ちよく楽しむ。 こんなお酒の楽しみ方が、きっと生まれてくると思います。 トラディショナルな日本酒は貴重です。 頑として寄せ付けない大人の酒。 夏でもお燗でゆるりと楽しむ酒。 「お前も酒の似合う年頃になったらな」 と、 余裕を持って若者に語れる酒。 どちらもあっていい。 大切なのは、 それぞれの飲みてが、 酒とともに「楽しい時」を過ごしているかということ。 「あなたは今、ハッピーですか?」 「ええ、とても」 それが大切にしたいこと。

よよぎ庵

代々木といえば代ゼミ。 野口の古典とか、誰それの数学とか、名物教師がいて、 その授業は教室が満員でした。 勉強に半身で、青春に全力の時代。 楽しい思い出ばかりです。 その代々木にあるお気に入りの居酒屋。 よよぎ庵がひとつあれば、もうそれでいい。 何回行っても飽きないし、 いつも居心地良く時を過ごせます。 これぞ居酒屋の鑑。 冷凍食品中心、見た目中心のメニューに飽き飽きした時、 よよぎ庵の厨房で獅子奮迅の働きを見せる店主の作り出す 季節の野菜や魚を使った まさに手作りの料理の数々は、 ほっとお腹にやさしい。 カウンター席がいいのです。 広めにゆったりと腰掛けて、 カウンターの巾も広い。 ひとりで来ても、 常連のおじさんと話をしたりして、 楽に時間を過ごせます。 代々木の持つ雰囲気は、 都会のひとつの顔です。 おしゃれな部分はあまりないけれど、 ガサガサしたなかに、 古い街が持つ落ち着きがあります。 新宿と原宿・千駄ヶ谷に囲まれた街。 頑張って欲しいですね。

London 2012

ロンドンオリンピックに触れないわけにはいきません。 昨日、銀座で出場選手によるパレードが行われ、 50万人の人が見に行ったという記事を読みました。 50万人という人数が、通常のこのようなイベントの集客と比較してどうなのか、 それはともかくとして、 50万人ですよ。 とにかく、ものすごい人数の人が集まったということです。 東京というクールな都会にしては、すごいことだと思いませんか? いつの年も、 オリンピックの期間中は、 毎日暇があればテレビをつけて、 カウチにごろんと座り込んで見ることが習慣化。 日常になります。 この夏も同じ。 毎日、普通にテレビの日常になりました。 日本が勝っては感動して涙ぐんで、 家族に笑われたり、 負ければ、あーぁ、また韓国に負けた、また中国に負けた... と 大人げないリアクションをしたりして。 韓国のサッカー選手が、竹島のアピールをしたことが問題になっていました。 どうして韓国の人はこんなに大人げないのだろうと、 冷た~い目で見ているのですが、 実は自分のレベルも五十歩百歩だと感じるものがあるのです。 日本人も、多分に感情的で、熱しやすい。 そして自分の国のことしか見えていない。 だから特に感じるのかもしれません。 ロンドンオリンピックの、抑制された運営と、 とても大人で静かなイギリス人の様子は、 実に感じ良かった。 閉会式での大会運営委員長の挨拶のなかで、 「イギリスは、自分の番が来たとき、その役割をきっちりと果たしました。」 と言っていたのを、その通りだなぁとしみじみ感じたのです。 これをアジアの国々で開催したら、 イギリス人が見せたようなホスピタリティを、 アジアの人々は発揮できるのでしょうか。 ここに歴史のなかで育まれてきたものがあるように思います。 どのように他国の人々と付き合い、 自分はどのようであるべきか。 British Gentlemamship とか 騎士道精神のような、 生きる規範が、国として醸成されることが、 何かが起きたとき、 生きてくるものなのだろうと思います。 今年読んだ本のなかで、 カズオイシグロの「日の名残り」が印象に残っています。 そこに描かれた、 抑制のきいた執事という仕事に徹する姿勢を、 奇妙...

北軽井沢のご馳走

群馬県吾妻郡長野原町北軽井沢というところに小さな山荘があります。 軽井沢といっても、所謂リゾートの軽井沢とはまったく違って、 浅間山麓に広がる静かな開拓村です。 まわりは、キャベツ畑と牧場、そして静かな森。 夜遅くに車でここに来るときは、 途中でキツネやタヌキ、鹿や子連れのイノシシ... 様々な野生動物に遭遇します。 買い物を楽しむ施設もなければ、気のきいたレストランもない。 でも静けさが何よりのご馳走です。 晴れた夜には空一面の星。 へぇ、天の川って本当にあるんだ、って思います。 7月には蛍の飛び交う川のほとりで、夢中に蛍を追いかける。 大きな蛾や、アブに蜂、そして毛虫。 見たことのない虫はちょっと不気味だけど、 でもしばらくすれば、どれが怖くて気をつけなくてはならないかわかってきます。 食べ物が本当に豊かなのです。 自然の恵みが一杯ですから。 春には摘み草。 ふきのとうに始まり、タラの芽や甘草、よもぎの葉で作る草団子の美味しさ。 夏は野菜の大行進。 キャベツにトマト、ズッキーニ、キュウリ、 なすにピーマン、 果物もいっぱい。 秋は木の実の季節。 楽しいリンゴ狩り、 山にわけいって山葡萄狩り、 落葉松の黄色い落ち葉に生えるシモフリというキノコ。 自然に囲まれていると、 豊かさとはお金ではないと、つくづく感じます。 野菜や果物でお腹一杯になる心地よさ。 厳しさの中にも、 思いやりに満ちた人と人の関わり。 水もおいしい! 何も文句をつけるところがありませんな。 移住してしまいたい? そこで考えます。 僕は正真正銘の都会育ちで、 都会を愛して育ってきました。 普段狭くて汚れた空が、 正月とお盆の二回だけキレイに澄み渡る清々しさ。 整備された隅田川沿いを犬を連れて散歩する夜の気持ちよさ、 永代橋の欄干を飾るライトの美しさ。 銀座の飲食店街を覗いて回る楽しさ。 僕にとって、どちらが日常なのだろう。 どちらが特別なご馳走なのだろう。 ご馳走は、毎日食べていると飽きてしまうと言います。 何だか混乱してきます。 人の生活は、かくのごとく曖昧なのですね。 だから美しいと感じるのですね。

facebook

昨日は本当に暑かった。 日なたを歩いていると、まさにジリジリと肌がローストされていくのがわかるよう。 自転車で予備校に通う長男は、行き帰りだけで、何だか真っ黒になったように見えました。 「お日様を呪いたくなる... 」 と、空を見上げると、 何とも爽やかな空が広がっているではありませんか。 年に2回、正月とお盆にだけ広がる、 東京の青い空です。 思わずお日様を許してしまう気持ちになってしまいました。 あーぁ、残暑の日は続きます。 私は写真を撮るという趣味がまったくないので、 我が家では、子供の運動会だろうが、音楽会だろうが、パーティーだろうが、 奥様が全部仕切ってくれます。 昔はこれでも天体写真を撮ったりしてたのに、 いつ頃からか、面倒になってしまいました。 回りに写真好きが多すぎたからかな。 何となくデジタル社会についていけていない自分もいます。 レコードからCDに世の中が変わっていった時、 どうしてもCDの音が薄っぺらく聞こえて、馴染まなかった。 今でも続いています。 ライブで聞くのは楽しいけど、CDで聞くと感動しない。 写真も同じ。 フィルムカメラの写真の方が、何となく深みを感じてしまう。 これは、気持ちの問題なのでしょうかね。 でも、facebookに投稿されている皆さんの写真は、 キレイですね。 みんなすごく写真がお上手。 毎日のように空の写真を投稿されている方が群馬方面におられますが、 きれいですよ、本当に。 これは腕の問題なのか、 それとも技術の進歩で平均値が上がったのか。 まぁ、両方なのでしょう。 若くてアクティブに活動していた頃に比較して、 通常、社会人、特に会社人になると、接する人の範囲が狭くなるものです。 なかなか交友範囲を広げられない。 別世界に住んでいる人たちと交われない。 かといって、毎晩飲み歩くわけにもいかないし。 SNSのすごいところは、 そこなのでしょうね。 何でみんな、あんなに一生懸命毎日情報を発信しているのだろう。 何のために? 僕がブログを書き始めたのも、同じです。 自分のため。 毎日は忙しくて、楽しいけど、 どこか、みんな寂しさを感じているのですね。 今日も頑張ろう。

夏のお燗酒

毎日、本当に暑いですね。 残暑は肉体的にも精神的にもつらい。 もうおしまいだと思うほどきつく感じるものですよね。 ジョギングを日課としていた頃(今はしていないということです)、 10㎞の大会に出場していましたが、 長距離のレースがまさにそれ。 あと2㎞だと思うときついのです。 人間の弱さは守りに入った時に現れるということなのでしょう。 そんな暑い夏にお燗酒? 本当ですよね。 一年中お燗酒派を自認する僕ですら、 さすがに冷や(常温のことです)で頂くこの季節ですから。 ややびっくりしました。 阿佐ヶ谷の小粋な小料理屋さんに行ったら、 すでに3人のお客さんが来ておられて、 それぞれに一杯やっておられたのですが、 全員お燗酒。 今どき珍しい風景だなぁと感心しました。 「今日は、何かお燗酒の人が多いですね。」 と言うと。 「そういえば、この一・二年、夏でもお燗酒を飲む人が増えている気がする。」 「そういえば、そうだね。」 と女将やらお客さんらからの声。 「お燗酒は、飲み過ぎないからねぇ。」と女将さん。 「どうして?」 「やっぱり回りがいいからかな。それに、ちょっとツンとくる感じで、自然にあるところでストップがかかるような気がする。」 若い頃、 お燗酒といえば深酒・悪酔い・二日酔いの代名詞でした。 今日は死ぬまで飲むぞ! と友達と決死の覚悟で居酒屋に入り、 何本もお銚子を倒して、その横で自分も倒れていたイメージ。 女将さんのコメント、面白く感じませんか? 若い頃の、あのお燗酒と、何が変わったのだろう。 僕にはわかります。 飲み方が変わった。 要するに、人と一緒に同じ酒を注ぎつ注がれつという飲み方がなくなったのだと思います。 もちろん宴会の習慣は今でも残っているけれど、 多くの場合、 今の僕らは、人に合わせるよりも、自分の好みを大切にする、 そんな習慣がついています。 「僕はサワー」 「私は芋焼酎」 「私はワインかな」 と、みんなが自分の好きな飲み物をとるのが当たり前になりました。 お燗酒は、注ぎつ注がれつを繰り返していると、際限なく飲んでしまう飲み物かもしれません。 でも、自分で注ぎ、自分のペースで飲んでいると、 自然に「あぁ、もういいか。」という処にたどり着きます。 こ...

欅並木

我が家は杉並区の上の方にあります。 少々育ちすぎたハナミズキとキンモクセイの木が目印。 この家を建てた人は、ひと儲けしようと思ったのか、ちょっと格好いい家を建てたのですが、 売値が高すぎて買い手がつかず、新築のままで16年間放置されていました。 だから、見た目よりは随分と安く手に入れることができたのです。 ただ、家は人が住まないと傷んでくると言います。 育ちすぎた植木もそのひとつ。 生け垣として植えられていた針葉樹は、それぞれ樹木と言えるくらい育っていて、 伐採したり根を掘り返したりするのに、往生しました。 ほんの小さな庭でも、面倒をみるのは大変。 でも、そのささやかなスペースに、涼しい風が吹いています。 自由業の気ままさというわけではないけど、 今日は夏休みということにして、エントランス壁のペンキ塗りをしました。 朝からえっちらおっちらと、暑いなか、汗をかきかきペンキ塗り。 真っ白よりは、ほんの少し青かグレーが入った方がキレイに仕上がるよと、 内装業者の齋藤さんから教えてもらったので、 グレーホワイトという色味で塗ってみました。 キレイに出来たよ。 庭いじりでもペンキ塗りでも、一心不乱にやるのは気持ちがいい。 さて、我が家から自転車で10分くらい走ると阿佐ヶ谷の駅に行けます。 僕はこの阿佐ヶ谷の町が大好きなのです。 古い町だから、決しておしゃれなわけではないし、 気のきいた店が軒を連ねているわけでもない。 でも阿佐ヶ谷の町には、落ち着いた大人の臭いがします。 一流でなくても、美味しい料理屋があるし、 楽しげな飲み屋さんも沢山あります。 夏には七夕祭り、 秋にはジャズストリート。 イベントだって、結構あります。 でも何よりも、僕は、阿佐ヶ谷の並木道が大好きなのです。 中杉通りという名の阿佐ヶ谷駅を南北に貫く通りには、 立派な欅の木が植わっています。 欅と書いて「けやき」と呼びます。普通読めないよね。 欅の木は大きく育ち、大きく手を広げるように育ちます。 中杉通りは、両側の欅が手を伸ばして、 青空トンネルを作っているのです。 暑い夏にも、涼しい木陰をつくり、 木漏れ日を楽しませてくれます。 僕の家は、杉並区の上の方。 下井草と荻窪と阿佐ヶ谷に囲まれたところにあります。 本当は下井草...

For something new!

これまで飲んだことのない新しい酒。 一度飲んだら、くっきりと脳裏に焼き付く味と香り。 そんな酒を僕はつくってみたい。 酒の世界に携わって、いつの間にか24年になります。 様々な酒をみて、人と交わってきました。 初めから好きだったわけではありません。 たまたま祖父が清酒蔵元の息子だったこと、家業が酒問屋だったことから、この世界に入ったものの、酒は弱いし、別にうまいとも思わない。ワインの方が夢があると思っていました。 でも24年経ったいま、酒を心から愛する自分がここにいます。 何が酒の魅力なのだろう。 それは知的な好奇心を越えて、なにやらDNAとも言えるような、自分の中に流れるモノに由来しているように思えます。 何が好きですか?と聞かれて、本当に自信を持って答えられるanswerは、酒。 酒を飲むのが好き。 酒を知ることが好き。 酒と料理を楽しむことが大好き。 酒の作り手と交わることが楽しい。 酒蔵の香りが大好き。 酒蔵を囲む、それぞれの地域の自然や文化に触れることが楽しい。 酒を通じて人の輪が広がることが楽しい。 酒を愛する人たちってみんないい人だと思う。 草木の香り、 米の炊きあがる香り、 水のおいしさ...  こうやってつらつらと考えていると、何が好きというよりは全部好きという気持ちになってきます。 今度、新しい会社を作りました。 楽しい酒の世界を作り出す... 既存の構造のなかに仲良く生きるのではなく、 新しい何かを生み出す会社にしたいと願っています。 新しいなにかのために。 For something new! 僕の美学は、いつもそこにあります。