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同じ民族ゆえの面倒くささ

私が子供のころ「巨人の星」という少年マガジンに連載されたマンガが大人気でした。 あまりに有名なマンガですから、きっと今の若い人でも聞いたことがあるかもしれません。 単行本を買ってもらって擦り切れるほど読んだので、今でもよく覚えています。 その第1巻に、主人公の星 飛雄馬が若い頃の王 貞治に出会うシーンが描いてありました。 王 貞治のお父様は墨田区で「五十番」という中華料理屋をやっておられたのですが、 子供の私からみて、なんだか典型的な中国人のイメージが焼き付いています。 子供の頃の私には中国人も台湾人も区別はつかず、 中華料理屋の太っちょで少しうるさいけど大らかで憎めないおじさん、という印象が残っています。 中国人って、大きな国なのに外国に来てたくましく働いている、 うるさいけど何となく器が大きい、 明るい、 そんな良い印象が私の原体験でした。 さすが歴史の古い大国は違うな、と思っていました。 日本に様々な文化を伝え、原始的だった日本の国を賢くしてくれた国だと思っていました。 そんな良い意味で大国のイメージが、 時とともにぐーっとイメージダウンしてきたのは何故でしょう。 大人になってからの数十年、 子供の頃に抱いていたほのかな尊敬の念は、 どこかに消えてしまったような気がします。 国を代表する人々の全体主義的で威圧的な態度と、 札びらを切って品のない素行をする旅行者。 中国にビジネスに行った人からは、現地で騙されてもう懲り懲りという言葉。 この国の本質はいったいどこにあるのだろうと、 一度もかの国を訪れたことのない自分には、 よくわからないのです。 今日、職場で回ってきた中国の海外版「人民日報」を読んでいたら、素敵なインタビュー記事が載っていました。 清水寺貫主の森 清範さんのお話です。 清水寺貫主といえば、 毎年年末に清水の舞台ででっかい「今年の漢字」を書いておられる方です。 清水寺の属する法相宗は、唐の時代の高僧である玄奘三蔵(西遊記の三蔵法師)が租となった仏教の宗派なので、 森貫主は長年にわたって日本と中国の友好を深めることに力を注いでこられたそうです。 その森貫主が、もし中国に贈るならどの漢字を贈られますかという質問に対し、 「恩」という文字を挙げられました。 「日本は、中国から...

風の音にぞおどろかれぬる

「秋来ぬと目にはさやかに見えねども、風の音にぞおどろかれぬる」 古今和歌集にある藤原敏行の和歌です。 2月に秋風の話をするのも間が抜けていますが、 この歌はとてもわかり易いので、 季節の節目になると ふと思い出すのです。 今年の冬はとても寒いですね。 久し振りに寒いなぁと思う冬になりました。 昔からどちらかと言うと冬が好きで、 暑すぎる夏よりは冬のほうが絶対好き、と言っていましたが、 さすがに今年は春が待ち遠しい。 これは歳のせいかもしれませんが。 今日も寒い朝だったのですが、 霞が関で降りて日比谷公園の脇を歩いていた時、 ふっと春の気配を感じたのです。 何を考えていたわけでもないのですが、 ふっと風が通り過ぎたとき、 あれ、春の風だ。 そう感じました。 そういえば立春を過ぎたばかり。 日本の季節は、他の国の季節とは違う。 当たり前のことですが、 1月から12月のカレンダーに縛られた生活をしていると、 何となく4月にならないと春にならないような心持ちになるのでしょう。 3月の20日過ぎに桜が咲くと、 おいおいもうちょっと待てよ、と舌打ちしたくなるようなあの気持ち。 でも2月4日にもう春が来ていると思えば、 2週間くらいの開花の前後は想定内です。 もう春なのですね。 そして、 確かに今朝、私を通り過ぎた一陣の風は、 まさに春の風でありました。