巨木に触れる

コロナウイルスなんという
これまでの人生では出会ったことのない種類の局面に立ち、
生活の危機感もそれほどないままに、
日常生活を支える生活必需品を除いた経済だけは完全にストップして、
何となく在宅勤務という名の「休暇」を楽しんでいる。

世の中の現状ってこんな実感かもしれません。
もちろん、日々の現金商売がストップして、
明日の暮らしに不安いっぱいの方々もたくさんおられます。

この感覚が当然の感覚なのだと思いますが、
何故か勤め人は能天気です。
まさに休暇を楽しんでいるというのが相応しい。
「在宅でストレス溜まりますよ~」とか言いながら、
心は沈んでおらず、
今夜はどこのお店のテイクアウト食べようか、などと思いを巡らせています。

でも経済停滞のツケは、必ず巡ってきます。
利益のないコスト流出によって企業経営は苦しくなり、
給与が下がるケースもでるでしょう。
雇用水準は下がるでしょう。
新卒採用は1年分ずれてくるかもしれない。
一挙にマイナスの要因と話題が沸き上がる可能性が高いと思います。

在宅勤務者にとって、今は何もできない時かもしれませんが、
能天気はやめましょう。
賢くありましょう。
考えましょう。

今は自分たちの未来について考えるべき時であると私は思います。
考えて、そして今自分になにをすることができるのか、
それを認識し、
一歩ずつ歩を進めてゆくべき時にしなくてはなりません。
人類の叡智が問われる時です。
日本人の叡智が問われる時です。

ジジイ臭いとは思うのですが、
毎朝1時間の散歩をします。
幸いなことに、杉並のこのあたりは、
密になることもなく歩けるところがたくさんあります。
天気の良い日は本当に気持ちがいい。
お気に入りの Podcast を聴きながら、
腕を振って歩きます。

何も考えないというのは素敵なことで、
ふっと空を見上げると、
美しい雲と青空。
木々の緑は淡く、
ハナミヅキの花がきれいに咲いています。

小さな町の公園に入って、ベンチに腰を下ろしました。
ふと足元を見ると、
アリの巣があって、たくさんのアリたちが出入りしています。
子供の頃って、飽きずにアリの巣を見たものでした。
小さな巣から出たり入ったり、
とにかく止まることなく動き続けるアリたち。
そういえば、こんな風にアリの巣を見るのも久しぶりのことでした。

公園にはシイの巨木がありました。
「木は生きているよ」
と言われました。
確かに木は生きています。
大地から水や栄養を吸い上げて葉を茂らせ、光を一杯に浴びてエネルギーを満たします。

木は何も言わず、笑いも泣きもしませんが、
黙って生きています。
この巨木は100年以上も前の空気を吸っていたのかもしれません。

近づいてそのごつごつした太い幹に両手を当ててみました。
ほんのりと暖かい木肌。

巨木は何も語ってくれませんでした。
でもそのぬくもりは、
「私は生きていますよ」と
私の乾いた心に伝わったように思います。

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