キラクのポークソテー

知っている人は知っている、
知らない人は知らない。
人形町のB級グルメです。
でもB級と言ってしまうのは恐れ多い。

キラクは、ビーフカツレツが有名です。
亡き先代のご主人が、黙々と仕事をしていた姿。
肉の下ごしらえをして、
粉をつけてパン粉をつけて。
ご主人の姿は、このビーフカツレツにそのまま重なりますが、
その脇でツヤの良い女性が作っていた人気メニューが
ポークソテーでした。

しっかりと時間をかけて肉厚の豚ロースを仕上げる姿を、
カウンターのこちら側で見ているのも
僕にとっては前菜というご馳走でした。

今もキラクのポークソテーは健在ですが、
どうしても第一印象は強いものです。

もう10年以上前のことですが、
ある料理雑誌に、
このキラクのポークソテーのレシピが写真入りで載っていました。
以来、
我が家では家族が月に一度は必ず食べる「父の味」になりました。

味付けは極めてシンプル。
1:5の醤油と酒。
酒をこれでもかというくらいたっぷりと使うのが特徴です。
そして後からバターとお好みでおろしニンニクを入れます。

このポークソテーのおいしさは、
肉のうまさだけでなく、
このたっぷりソースの絶妙な味わい。
これをキャベツとシンプルなマカロニサラダにからめて食べる満足感。
すべて含めて、キラクのポークソテーなのです。

たまたま人から平田牧場のうまそうな豚ロース肉を頂いたので、
今日もまた我が家はキラクのポークソテー。
これがまた、格別。
やはり素材の力はすごいものだと、
改めて感心させられました。

子供たちが大人になって、ずっと年月が経って、
父親の味を懐かしく思ってくれることがあるかな。
その頃、
キラクはまだそこにあるのだろうか。

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