キャンディーズ

今さらキャンディーズかよ、と言われます。
中学から高校にかけて、
思春期のまっただなかにいた頃のアイドルですから、
自分にとっては、少し特別なのでしょうか。
ただ、別に追いかけていたわけでもなく、
テレビに映っていれば見るだけ。
コンサートに行くこともないし、解散でショックを受けたわけでもありません。
その頃の私は洋楽に夢中で、
プログレッシブロックの英語歌詞を一生懸命覚えていました。
ですから、むしろ「キャンディーズが好き…」なんて、とても恥ずかしくて口にできないセリフでした。

確かに「年下の男の子」は、
なんだか5歳年上のランちゃんが自分に向かって歌ってくれているような気がして、
ちょっと甘酸っぱい気持ちになりました。
でも、その程度のことです。

そんな私が改めてキャンディーズに向き合ったのは、
乳癌で亡くなったスーちゃんの葬儀の様子をテレビで見た時でした。
青山斎場に詰めかけた大勢の中年ファンの前を
スーちゃんを乗せた車が通りすぎる時、
キャンディーズのデビュー曲である 「あなたに夢中」 がスピーカーから流れました。
森田公一らしいビートのベースラインがイントロを奏で、
ニコニコ笑っている彼女たちの顔が見えるような歌声が続きます。
しめっぽくなるはずの葬儀を、
からっと明るく歌い上げるこの演出に、
私はとても晴れやかな気持ちになりました。

年下の私にとって、
キャンディーズは、ミニスカートを履いて、ちょっと色っぽいお姉さんでしたが、
彼女たちは、いつも何だか明るい雰囲気をまとっていました。
爽やかというよりは、
からっと晴れた空のような明るさです。
彼女たちは、いつも明るかった。
解散した時も、
「微笑みがえし」 という歌で去ってゆきました。
「おかしくって涙が出そう」 と、
笑顔を貫きました。

もちろん演出なのでしょう。
でも、キャンディーズの演出は素晴らしかった。
この明るさがあったから、
40年経った今でも、
彼女たちのことを思い出すと、
何となく自分の顔がほころぶのを覚えるのです。

NHKの歌番組なんかを見ていると、
「歌の力」 なんていう言葉で、それぞれの心に残る歌を描いています。
恐らく、
それぞれの人が、心のなかに歌をつむいでいるのでしょう。
自分が知らぬ間に、
心に刻み込まれた歌というものがあるのだと、
何だか年寄り臭いなぁと思いながらも、
しみじみと感じています。

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