阿佐ヶ谷の魅力

私は中央区の生まれで、
結婚する32歳までそこに住んでいた、
どちらかと言えば根っからの下町っ子です。
下町が好きですし、
特に人形町なんかが大好き。
考えただけでも、今でもわくわくします。
江戸弁をしゃべるお年寄りなんかもいたりして、
それはそれは素敵。

結婚して住んだのが神楽坂の近くで、
これはこれで素晴らしく素敵な町でした。
少し下町の風情を持ちながら、
ちょっと粋な大人の町。
食べ物も美味しかったなぁ。
今考えても、わくわくします。

初めて自分の家を持ったのが阿佐ヶ谷です。
正確に言うと、
下井草と阿佐ヶ谷と荻窪の三角形の真ん中で、
一番近い駅は、実は下井草なのですが、
私は阿佐ヶ谷に住んでいますと人に言います。
阿佐ヶ谷が気に入っているから。
10年以上暮らした神楽坂を抜いて、
私にとって第2の故郷になってしまったようです。

中央線沿線の駅は、
それぞれにとても魅力的なのですが、
私には阿佐ヶ谷がマッチしたみたい。
人形町や神楽坂ほどに
名店が軒を連ねているわけでもないし、
飛び抜けたものがあるわけでもない。
いたって庶民的で、
ざっくばらんであるのですが、
何となく、
この町にはちょっと粋な心意気のようなものがあるように思えます。

吉祥寺ほどおしゃれでキレイなおねえさんがが歩いているわけでもなく。
西荻のような個性的なアンティックやカフェ文化があるわけでもなく。
中野や高円寺のようなディープな飲食店が連なっているわけでもなく。
荻窪ほど文化的でもなく。
でも、
阿佐ヶ谷を選ぶ人には、
独特の審美眼があるのでしょう。
多分、阿佐ヶ谷を選ぶ人は、
阿佐ヶ谷が好きで選んでいるのではないかと思えるのです。

パールセンターは、ごく普通のアーケード街ですが、
独特の活気があり、
キラリとした個性を持った店があります。
横町に入れば、
ひっそりと感じの良い店があります。
一番街は、今ちょっと寂れているけれど、
今にみておれという奥深さがあり、
スターロードや川端通り、いちょう小路には、
ちょっと面白そうな店が、どんどんあらわれます。
松乃寿司なんて、
ガード下のさりげない寿司屋さんが、
飾らずに
とっても美味しい寿司を食べさせてくれます。

古い文化と新しい文化が混在して、
どちらも必要以上に主張せず、
分をわきまえてそこにある。
そのさじ加減が心地よいのです。
そして、
何より魅力なのは中杉通りの欅並木。

このブログを始める時、
ブログの名前を「欅の風」としました。
阿佐ヶ谷の欅並木を通り抜ける風の音や、
その涼やかな香りと木漏れ日を、
心の故郷にしたいと願っているから。

大きい木に手を当てると、
木が生きているのを感じると言います。
やったことありますか?

太い木に限らず、
木に手のひらを当てて、じっと目を閉じると、
幹を流れる水の気配を感じます。
じっと黙って立っている木が、
実は生きているということに気づかされます。
確かに木は生きています。
植物には意識がないと誰が言えるでしょうか。

古い並木は、人の営みをじっと見つめているはずです。
欅並木は、生きている。
そう感じさせるものがあります。
私が阿佐ヶ谷に惹かれる大きな理由が、
多分そこにあるのではないかと思っています。
阿佐ヶ谷の欅の木は、
きっといい奴らが多いのでしょう。
よい木々に囲まれて、町もきっとよい子に育った。
こんな考え方は、
少し変かな。

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